私の知っていることはすべて5年以内に陳腐化する?

あなたの知っていることはすべて5年以内に陳腐化するというエッセイの翻訳があり(翻訳者の方、ありがとうございます)、はてなブックマークでもブックマークされているようなんだが…
本当にそうかね?
いや、このエッセイのポイントである、「どこか別な場所に行こうと思ったら、2倍速く走らなければならないのだ。それは5年たっても陳腐化しないようなトピック——人間的側面とデザイン——について学ぶということだ」ということには異論は無いのだが、(そして僕も「人間的側面とデザイン」はとても重要なポイントだとは思うけれども)、それ以外のコンピュータサイエンスの知識だって、5年で陳腐化するようなもんじゃないと思うよ。
おまいらの好きなオブジェクト指向だって、元はSimula67。40年前の言語だぜ。当時からちゃんとクラスも継承もあったし、(僕の記憶が正しければ)ガベージコレクションやコルーチンまであったはず。
モダンな関数型言語の元祖を、最近逝去されたバッカスのfpあたりだとすると、1977年か。
コンピュータアーキテクチャだって、本質的なところはそれほど変わっていない。今はやりの仮想化だって、汎用機時代の技術だし、少し前によく話題になったスーパースカラだって、元はCDC6600やIBM 360/91で開発された技術。VLIWも…とか言い出すときりが無いからやめるか。

確かに表層的には変わっている。僕たちはSimulaは使わずJavaRubyを使っているわけだし、大型計算機ではなくパーソナルコンピュータを使っている。しかし、その表層的な変化についていくことを「走り続ける」と称するのは、志が低いなぁ。「オブジェクト指向」の概念を学ぶのは大変だとしても、一度それを学んでしまえば、「オブジェクト指向言語」を学ぶのはそれほど大変ではないはず。(もちろん、それぞれに特徴もあるし、ひとくくりにはできないけれども)

本質的な概念の理解があれば、表層的な変化に惑わされて「走り続ける」ことにはならないと思うよ。